腕時計が壊れた場合、真っ先に思い浮かべるのは修理費用だと思います。選択肢としては自分で修理?時計屋さん?ホームセンター?家電量販店?などなど。その中で一番費用が抑えられるのは、自分で修理することです。
腕時計の修理に100均で買った商品は使えるのか?
今回は修理費用を最小限に抑えるために、腕時計修理のプロ目線でお勧めできる、100均で買った商品「お手軽メンテナンス用品(電池交換、クリーニング)」を一部紹介いたします。
注)あくまで専用の工具ではないので自己責任でお願いいたします。
メリットについて
1.(費用)
腕時計を修理する場合、例えば電池交換は時計屋さんや家電量販店、ホームセンターでも1,000円以上の費用が掛かります。腕時計のブランドによっては10倍以上の費用が掛かるケースもあり、電池交換以外の作業の場合も数千円で収まらない可能性がございます。
腕時計は、動き続ければいずれ消耗し、時が来れば故障します。破損状況によっては専門工具、専門知識が必要になりますが、電池交換、ベルトのサイズ調整や時計の外装洗浄などといった軽修理が自分で作業できれば複数本の腕時計をお持ちの方でもより費用を抑えられることが可能です。
2.(修理納期)
電池式の腕時計をお店に持っていった時に、「こちらの時計は防水性が高いので1~2週間のお預りです」と案内された経験はないでしょうか?
腕時計は、電池交換時に裏蓋を開けると作業と同時に防水性が落ちる可能性があります。そのため、電池交換作業後に防水試験して、その腕時計の防水性能に耐えられるかをテストします。お店によっては防水試験機を置いているお店もございますが、置いていないお店が大半です。(特にホームセンター、家電量販店、腕時計販売店は置いてありません。)置いていないお店は自社の修理工房や提携している修理工房で作業するため、時間が掛かります。また、腕時計の洗浄に関しても店頭で行っていないお店も多いので、こちらの作業も自社の修理工房や提携している修理工房で作業するため、時間が掛かります。
3.(タイミング)
電池切れは突然訪れます。腕時計の使用は人によってさまざまですが、結婚式、大事な会議、デートなどが明日に控えているタイミングで電池切れが起こったとしても、自分で修理できれば何も問題はありません。腕時計の汚れをきずいた場合でもきずいた時に対応できるといったように、おうちに居ながら、自分のタイミングで臨機応変に対応できます。
デメリットについて
1.(破損のリスク)
腕時計の内部部品はとても細かく、繊細なパーツで構成しています。お客様のご依頼の内容は、自分で電池交換した際に壊れた、部品をなくしたというご依頼もあります。不安をあおる訳ではないですが、修理する際に無理しないことがとても大切です。
2.(手間が掛かる)
実際に自分で修理する時はウェブサイトやYouTubeなどで調べて、道具を買って腕時計の修理作業をする。その作業の時間を手間と考えず、有意義な時間と考える人は少ないはずです。時間に余裕がなければ、いっそのことプロにお願いするのが無難ですね。
気軽にホームセンター・ダイソーなどで購入できる商品の紹介①
【自分でできる腕時計修理】気軽にホームセンター・ダイソーなどで購入できる商品の紹介①
外装パーツの故障は部品交換となり費用が高くなる場合が多いですが、使用方法、使用環境によって防ぐ事ができます。腕時計のクリーニングは時計屋さん・ホームセンター・家電量販店などに依頼しても時間も掛かりますし、値段も数千円は掛かると思います。
※場合によってはホームセンター・家電量販店でも作業していない可能性もございます。
そもそもステンレス・チタン素材ってサビるの?
腕時計の外装パーツ(金属部)の多くはステンレスやチタンが使われてます。一般的にはステンレスやチタンは錆にくい素材と言われています。あくまで錆ない素材ではなく、錆にくい素材です。
上記のように素材を生かすためにも、腕時計の故障の1つである錆を未然に防ぐ、腕時計ベルトクリーニング方法を紹介します。
金属ベルトの洗浄作業
【自分でできる腕時計修理】気軽にホームセンター・ダイソーなどで購入できる商品の紹介②
以前の記事(腕時計の電池交換を依頼すると高いと思う理由について)で紹介したメーカー、時計専門店でないと電池交換できない腕時計の中に裏蓋スクリュー開閉モデルがございました。スクリュー式の腕時計は防水モデルに使用にしている事が多く、自分で腕時計を電池交換すると防水性能が落ちる可能性がございます。また、裏蓋の開閉器の工具が特殊で高額、さらに使い方を誤ると腕時計に傷をつけてしまう恐れがございます。
メイコー社の開閉器です。こちらに合わせて腕時計を固定する保持器が必要です。今回使用している保持器はセイコーの保持器になります。こちらの組み合わせは、さまざまなスクリュータイプの腕時計設計されており、修理技術者の大半はこちらの組み合わせを使用しています。
しかし、防水性は落ちても気にしないという人に向けて、今回紹介する開閉器は、ダイソーなど100円ショップで買える商品のため、とても安価です。また、素材もゴムのため、傷つける可能性リスクは軽減できます。開閉するボール、電池、ピンセットは全て100円ショップ、またはホームセンターなどでそろいますのでお試しください。裏蓋が固く回らない場合は無理せず、時計屋さんにご相談ください。
スクリュー式裏蓋の電池交換作業
作業を終えて
今回は時計修理専用工具の代用として使用してみました。本来の工具よりは使用しづらい点もありましたが、やり遂げられました。専門工具を購入しようとすると10倍以上の価格ですが、今回紹介した方法なら費用はさほど掛からずお勧めです。
腕時計修理方法は各ウェブサイトやYouTubeなど調べる方法は幾らでもありますので、腕時計に限らず自分で修理する事は、今後さらに需要が高まっていきそうですね。余談ですが、「時計修理技能士」という国家資格があるのはご存じですか?興味がある方は弊社で専門技師による教育セミナーも行っておりますのでご相談ください。
腕時計の仕事に携わらない限り、なかなか腕時計の内部や修理風景は見る機会は少ないと思います。そのため、お客様が分からない事、不安に思う事が多いと思います。私たちがその不安を少しでも解決できればと考えております。